星のない世界 紳士とアヒル

 

プロローグ

 

目が覚めた時、視界が青一色に染まっていた。

それが雲ひとつない空だと理解するのに、僕の頭は少し時間を要した。

この世のものとは思えない青い青い色をただ呆然と眺めていると、ここは僕が生まれた世界ではないなと感じた。

僕はきっと、生きられなかったけど、死ねなかったんだなと、なんとなくわかった。

わかってしまったんだ。

 

 

 

僕はどうしてここに来たんだろう。

考えても考えても心当たりがなかった。

ただ、胸の奥から『星がみたい』という願望が強烈に湧き上がっていた。

それは身体中を支配し、苦しくて吐き気がするほどだった。

 

 

だけど、僕は夜に二度目の絶望をする。

夜の空に浮かんでいたのは、大きな月がひとつだけ。

青くて白い、巨大な月が空の全てを支配していた。

星が見当たらなかったんだ。

 

 

僕は星を探す旅に出ることにした。

星を見つければ何かわかるかも知れない。

僕がここに来た理由も、もしかしたら、僕がここより上の場所へ行く方法も。

それだけを頼りに、僕は青の中へと歩き出した。

 

ひとりで旅を続けて、間もない頃だったろうか。


旅先で誰かに出会うことはあっても、特別仲良くなることもなかった。
もともと人見知りする性格もあってか、僕はどこへ行ってもひとりぼっちだった。


その夜もひとりで月を眺めていた。


ふと横を見ると、いつの間にか白い君が隣に座っていた。

何か用?そう聞いても、君は見つめてくるだけで、何も答えてくれなかった。


しびれを切らした僕がその場を離れようとすると、君は僕と並んで一緒に歩き出した。


どこまでもどこまでもついてきた。


僕が休むと、一緒に休んだ。

 

君がなんで僕についてくるのか、何が目的なのか、僕にはわからない。

 

君は何か言うわけでもなく、僕に何か求めるわけでもない。


ただ、君は今日も僕の隣を歩いてくれている。

 

 

 

僕の星を探す旅は、まだまだ終わらない。